『おかえりモネ』第1週
2014年春、宮城県気仙沼市の離島・亀島で育った永浦百音(清原果耶)は、高校卒業を機に、内陸の登米市の大山主・新田サヤカ(夏木マリ)の家に下宿して、森林組合の見習い職員として働き始める。娘が心配な父・耕治(内野聖陽)は、頻繁に百音に電話をするが、百音は仕事が忙しく中々連絡が取れない。そんなある日、東京から人気の気象キャスター・朝岡(西島秀俊)が、登米にやって来て町は大騒ぎ。実は朝岡はサヤカと、ある縁があった…。(https://www.nhk.or.jp/okaerimone/story/week_01.html)
先週から『おかえりモネ』が始まった。放送が始まるのをとても楽しみに待っていた。
思えば我が家では1年前に『エール』を観て以来の朝ドラ視聴者になる。
『エール』は窪田正孝さんと森山直太朗さんがとてもよかったのだけれど、いかんせん序盤から暗く、惨憺たる心持ちで毎朝出勤したものだった。というわけで前半が終わる頃(緊急事態宣言の影響で撮影が止まり、再放送に切り替わる少し前だったか)には、夫婦会議の末に観るのを辞めた。会議、すんなり終わったけど。
BUMP OF CHICKENによる主題歌。高木正勝さんの劇伴。主演は清原果耶さん。舞台は宮城県。否が応でも期待してしまう。
そして観始めたら、冒頭から気迫が凄い。
天気、自然に振り回されながら、それでも生きる/生まれることを諦めない人間たちの右往左往がコンパクトに描かれる序章。
個人的に、連続テレビ小説特有の幼少期時代編みたいなものがまどろっこしくて苦手なため、一気に現代(2014年)まで舞台が移るのはとても観やすい。
ヒバの木(あすなろ)のエピソードが印象的だった。樹齢300年の木。「明日はヒノキになろう」と背を伸ばし続けた木。この山で生まれた以上、どう頑張ってもヒノキにはなれない木。ヒノキにはなれなかったともじもじしていても、ゆっくりとたしかに成長した木。
この先自然の中で生えているだけでは朽ちていく木。かたちを変えることで、この先も誰かの役に立ち続ける木。
1本の木をモチーフにしながら、「役に立たなくたっていい」ということまで伝えてしまえるポジティブさ。やさしさ。
医学や水産、天気予報。神事(登米能)や直感…科学と非科学のどちらも肯定しながら対比するドラマの中で、ご当地の著名人として石ノ森章太郎の影が浮かばせてくるのは面白いなと思った。結果『サイボーグ009』の島村ジョーになってしまう朝岡(西島秀俊) 。
そこにいる人たちは、自分で”こっち”というものを探して、歩み出した人たち。
未だあの日の霧の中にいるモネ。でもたしかに、ゆっくりと晴れていく予感。この先が楽しみだ。
モネの生まれ、家族のいる町の海。モネが今いる、山の村。それらを繋ぐ空。
その3点を循環していく、モネや周囲の人たちの想い。良き旅のはじまるフィーリングに満ちた第1週だったように思う。
オープニング主題歌はBUMP OF CHICKENの『なないろ』。
https://open.spotify.com/track/1k1zTwX433BlwP6FLOPBpD?si=WddeKQDERECf1YpTELAzTA
素晴らしい曲だった。過去の自分から今の自分へ、そして今の自分から未来の自分へ届ける最初の想い。生きることの哀しみや喜び。見えなくなっても消えないこと。その涙がどこから来たのか。どこへ帰るのか。
バンプがこれまで歌ってきたことの本質が、明るく鮮やかにより強く打ち出されている。これから展開されるドラマ(の本質)とシンクロしていくんだろう。
オープニング映像は林響太郎監督。上のMVも監督されていて、楽曲の本質を見事にとらえている。
https://twitter.com/yukimura_0921/status/1394315469042053124?s=21
高木正勝さんの劇伴も言わずもがな。『おおかみこどもの雨と雪』のイメージを生かしつつ、よりいろんなアプローチで映像に寄り添ったものになっている。サウンドトラックのリリースが待ち遠しいです。